経費で落ちるレシート・落ちないレシート
フリーランスのライター鈴木さんが税務に関して疑問に思ったことを、公認会計士・税理士の梅田 泰宏氏に答えてもらうという対談形式で本書は進んでいく。
フリーランスの鈴木さんは、細かいものでもとにかく何でも経費にしたいという立場で、
梅田先生にイジられながらも経費の計上方法をズバズバと答えてもらうという内容。
PART1 領収書の常識
PART2 経費処理にかんする基礎
PART3 このレシート、経費でおちますか?
(章立てのタイトルは本書の通りではないです)
本書のタイトルからはPART3の内容、事例ごとのQ&Aみたいなものを連想するが、
PART1とPART2は、レシートや経費処理、青色申告などの基本事項をおさらいする感じ。
気になった箇所だけメモ↓
領収書の「上様」について
「少額の領収書は上様でも大丈夫。でも高額になると微妙ですね。」
何万円もする領収書が「上様」だと、なんか怪しいでしょ。
では、なぜ上様という領収書が存在するか?
これは、少額の領収書の場合に宛名を書くのが大変だから昔から慣習化しているもの。
この慣習を受けて、消費税法30条と施工令49条で、書類の交付をうける事業者の氏名または名称は、
その記載金額が3万円未満の場合、もしくは小売業、飲食業、写真業などの特定業種では3万円以上でも記載がなくてもよいことになっている。
5万円以上で収入印紙のない領収書について
5万円~100万円の以下の場合は200円の収入印紙を貼る。
印紙が貼られていない領収書は、発行者にとっては印紙税法違反になるが、
受け取る側にとっては支出の証明になる。
宛名が空欄の領収書について
そもそも、レジから出るレシートでも税務官はOKするわけですから、
宛名はそんなに重要ではないんですよ。空欄なら空欄のままでも問題はありません。
だからわざわざこれにあとから社名を加える必要もない。時間がないのなら、わざわざ領収書を頼まず、品名とかが記載されているレシートをもらったほうが、よっぽど信頼性は高いと言えるでしょう。
領収書の宛名は空欄でもOK。ただし、高額なものはちゃんと宛名を書いてもらうこと。
もちろん自分で宛名を書いてしまうのはNG。税務官によっては筆跡をチェックする人もいるとのこと。
カフェの飲食代は経費にできるか
たとえば毎日のようにスターバックスコーヒーに行って仕事をしていたとしたら、スタバのレシートがどっさりたまります。これは、
「私は毎日スタバで仕事をしています」と自身を持って言い切ることができれば、経費で落ちるでしょう。
今はそういう仕事のスタイルがあたりまえになってきているから、以前より経費で落ちやすいとも言えますね。
しかし、カフェの飲食代を頻繁に経費計上する場合は、家賃の按分に注意すること。
自宅兼事務所で、家賃の何割かを按分している人は、いつも外で仕事をしているとなると家賃分の按分率をつつかれる可能性が出てくる。この辺はカフェの飲食代と家賃の按分率を天秤にかけて考慮する。
福利厚生費、接待交際費、会議費はデリケートな勘定科目
家族旅行を下手に福利厚生費で落とそうとせず、何とかして仕事と絡めることを考えたほうが利口ですね。
(中略)
ライターとして取材に行った、あるいは芸能関係者が「ネタ」を探しに行ったというのであれば、十分に経費になります。要するに、カギは「仕事に役立ったかどうか」なんですよ。
福利厚生費、接待交際費、会議費はデリケートな勘定科目。
税務調査の際にも目をつけられやすい項目。特に個人事業や零細企業で福利厚生は計上しづらいので、
旅行費用をなんとか経費にしたい時には、仕事と関連づけることを考えた方が良い。
経費で落ちるレシート・落ちないレシート
梅田 泰宏
日本実業出版社